帯状疱疹専門診療
帯状疱疹は皮膚と神経(痛み)の病気です
帯状疱疹
帯状疱疹は、痛みを伴う発疹が帯状(おびじょう)に出現する病気です。
症状の程度は軽症なものから重症なものまで様々です。
命にかかわるような病気ではありませんが、痛みなどの後遺症により日常生活に支障をきたすことがあります。
帯状疱疹の診断、初期治療は皮膚科の専門分野ですが、痛みの治療は麻酔科(ペインクリニック)の専門分野となります。
スキンクリニックKは、皮膚科医と麻酔科医による治療が同時に受けられる専門クリニックです。
院長は、皮膚科専門医かつ麻酔科専門医でペインクリニック学会会員です。
これまで培った経験を生かして、皮膚や痛みの後遺症を最小限するための治療を提案させていただいております。
帯状疱疹における4つのポイント
帯状疱疹では、予防、早期診断・治療、適切な痛み治療によって後遺症を最小限に抑えることができます。スキンクリニックK では全ての診療に対応しています。
予防(ワクチン)
早期診断・治療
皮膚の治療
(ケロイド、瘢痕予防)
痛みの治療
(内服治療、神経ブロック)
帯状疱疹は高齢者の病気って本当?
過去に水ぼうそうにかかったことのある方では、どの年齢でも発症する可能性があります。
特に50歳を過ぎると帯状疱疹の発症率が上がると言われています。
帯状疱疹は80歳までに3人に1人がなると報告されており、とても身近な病気なのです。
原因はウイルスの再活性化
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)というウイルスによって引き起こされる病気です。
VZVは多くの人が子供の頃に経験する水ぼうそうの原因ウイルスです。
水ぼうそうが治った後、ウイルスは消滅することなく体内の神経節という場所で冬眠状態になります(潜伏感染)。
その後、持病の悪化、疲労やストレスなどで免疫力が低下したことをきっかけにウイルスが再び目覚め、帯状疱疹として発症します。
帯状疱疹がおさまった後は、再び冬眠状態に入ります(潜伏感染) 。
※ウイルスは体から消滅しません
帯状疱疹の症状
約75%の方で痛みや倦怠感などの症状が皮膚症状に先行すると言われています。
発疹は頭、顔、体、陰部、足まで、全身どこでも出現する可能性があります。
口腔内や目などの粘膜にも出現することがあります。
通常は左右どちらか片側に発症します。
発疹が帯状(おびじょう)に配列することが特徴なので帯状疱疹と呼ばれています。
帯状疱疹によく似た皮膚病もあり、治療方針が全く異なりますので、皮膚科専門医による診察が必要になります。
帯状疱疹では、皮膚症状(発疹)だけでなく神経症状(痛みや痺れ)が出ることが特徴です。
皮膚症状
-
丘疹(ポツポツ)、紅斑(赤み)から赤みを伴った水疱(水ぶくれ)まで様々で、水疱が破れるとビランや潰瘍を形成(ジクジクした状態)します。
-
好発部位は、胸や腹、背中が最も多く、次いで顔に多いと報告されています。
-
発疹は時間と共に、乾燥してかさぶたとなり、通常は1~2週間で最終的にピンク色に痕を残したり(瘢痕)、茶色い痕(色素沈着)を残して治癒します。
01
水疱・血疱・紅斑
02
痂皮(かさぶた)
03
色素沈着、瘢痕
神経症状
(痛み・しびれ・異常感覚)
神経に強い炎症を引き起こすため、痛みなどの神経症状が出現します。
一般的に、以下のように症状が見られます。
また、これらの神経症状は時間と共に変化していきます。
-
痛み
最も多い神経症状で、人によって感じ方が違います。
例)ビリビリ、チクチク、ズキズキ、ズシーン、シクシク、焼けるような、針で刺されるような など
-
しびれ
指先が痺れたり、力が入りづらくなったりすることがあります
-
知覚低下
皮膚の感覚が鈍ること
-
アロディニア
軽い刺激(服が擦れたり、風に当たるなど)で痛みを感じる
帯状疱疹の治療
帯状疱疹では、それぞれの症状と目的に応じた治療が必要になります。
どれも大切な治療です。
ウイルス増殖抑制
抗ウイルス薬
皮膚症状への治療
軟膏薬
神経症状への治療
疼痛治療薬
神経ブロック
リハビリ
注意すべき帯状疱疹
以下の症状がある場合には、重症化するおそれがあるため他科受診や連携病院での入院加療を勧めることがあります。
-
全身に水疱が広がっている
→汎発性帯状疱疹といい、発熱などの全身症状が出ることがあります。
-
頭、顔の帯状疱疹でひどい頭痛がある
→ウイルス脳症などの危険性もでてきます。
-
顔の筋肉が動かしづらくなる
→Ramsay Hunt 症候群といい、顔面神経麻痺やめまい、難聴、耳鳴りが出現します。
-
眼の周りの帯状疱疹
→眼の合併症を引き起こす可能性が高い
重症化すると視力低下や失明至ることもあります、眼科での診察が必要です。
-
陰部や臀部の帯状疱疹
→排尿障害が出現することがあります。
帯状疱疹後神経痛(PHN)
-
帯状疱疹の発疹が治まった後も痛みが続く状態のことを言います
-
帯状疱疹で最も多い後遺症です
-
50歳以上の方で、約20%でPHNになるといわれています(5人に1人)
-
痛みは数週間から数ヶ月、長い方は数年間残ることがあります
-
痛みに対する専門治療(内服薬、神経ブロックなど)が必要になります
PHN 発症のリスク因子
-
高齢者(特に60 歳以上)
-
発疹が重症である
-
発症初期の強い痛み
-
異常感覚
-
基礎疾患がある( 循環器疾患、糖尿病、透析、癌の治療中、膠原病、免疫抑制剤を使用している、など)
これらを総合的に判断して、専門的な視点から加療していきます
帯状疱疹の痛みの特徴
帯状疱疹の痛みは時間の経過とともに変化していくことが大きな特徴です。
慢性化した痛みは、数ヶ月から数年続くこともあります。
神経ブロック
当院では、帯状疱疹による痛みや神経障害に対して、神経ブロック治療が受けられます。
内服薬で抑えることが難しい強い痛みや、神経障害がある場合に良い適応です。
※ 神経ブロックは原則予約制になっております。
神経ブロック治療には以下のようなメリットが考えられます。
-
神経の異常興奮抑制と、血流改善による神経修復。
-
強い痛みを抑えることにより、後遺症を最小限に抑える可能性があります。
-
の高い除痛効果により、内服薬の量を最低限に減らすことができます。
神経ブロックを控えたほうが良い方
神経ブロック治療は優れた治療法の一つではありますが、以下のような方にはお勧めしません。
メリット・デメリットをトータルに考え、主治医と相談していきましょう
-
鎮痛薬が十分に効いている場合
-
血をサラサラにするお薬を服用中の方
-
糖尿病のコントロールが不良な方(HbA1c 8.0以上)
-
体調が優れない方
-
痛みが1年以上継続している方
-
超高齢の方
帯状疱疹の痛みは長期間続くため、小さな治療目標を一つ一つクリアすることが大切です
最善の治療を提案し、痛みと向き合うためのサポートをします
STEP1.
夜眠れるようになる
STEP2.
日常生活を取り戻す
STEP3.
趣味を楽しめるようになる
GOAL
痛みがあっても気にならない
PHN 発症を抑えるため
痛みの後遺症を最小限にするためにできることがあります
-
発症早期からの抗ウイルス薬による治療
-
積極的な痛み治療の介入(麻酔科・ペインクリニックでの治療)
-
基礎疾患の治療と規則正しい生活習慣
-
日常生活でできるリハビリテーション(体を動かす)
-
ワクチン接種
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹に対するワクチンは2種類あります。よく相談して接種することをお勧めします。
当院では、安全性と予防効果の高いシングリックスのみ接種提供しています。
院長から一言
帯状疱疹は早期診断、早期治療が重要です。かかりつけの病院での治療後も帯状疱疹の痛みに悩まされている方は、是非ご相談ください。
神経ブロック治療は痛み治療の中でも重要な役割を果たしています。私は、これまで手術麻酔およびペインクリニック外来での診療を通じてその有効性を実感してきました。慢性的な痛みは皆さんの生活に負の連鎖を生じてしまい、生活の質を下げる原因となります。特に帯状疱疹では早期からの治療戦略が、帯状疱疹後神経痛予防の鍵となります。
我慢して悩まないで、まずはご相談ください。痛みから解放される糸口を一緒に見つけていきましょう。